グループウェア・システム論

グループウェアの理論と社会的要因

協調作業の社会的分析

社会的分析とは

  • 行為の現場分析技術
    • フィールドスタディ*1
      • 実際に現場に行ってデータを取る
    • エスノグラフィックスタディ*2
      • 起こったことの記述がより徹底
    • エスノメソドロジー*3
      • 局所に限定してデータを提示
      • 細部にまで言及し,それらの相互行為的な形成を記述
  • エスノグラフィー*4(社会的分析)
    • エスノグラフィックスタディ
    • エスノメソドロジー

社会的分析は設計に応用可能か?

  • エスノグラファー*5と開発者との間の立場には次のような違いがある
    • エスノグラファーは分析が目的,開発者はシステムを作ることが目的
    • エスノグラファーは先入観を排除して判断と偏見を避ける,開発者は何が重要で何がそうでないか判断する
    • エスノグラファーは分析に時間をかける,開発者は早い結論を求める
    • エスノグラファーは文章による記述だけを行い,開発者は図式化を行う
  • エスノグラファーが観察を容易に行うためには,協調作業が狭い部屋のような場所で行われる方が都合がよい

日本での研究例

  • 遠隔作業指示において円滑な相互行為が達成されるためには,指示者と作業者の間に身体メタファーが成立すべき
    • 作業者が何を見ているのかを指示者がよく把握できればコミュニケーションをとり易い

社会的分析と開発プロセスとの関係

  • 並行的エスノグラフィー*6
    • プロトタイプ開発と並行してエスノグラフィーを適用する
    • 開発者とエスノグラファーは何度も報告会議*7を行い,その成果としてプロトタイプが改善されていく
    • 実施には長期を要する
  • 即断的エスノグラフィー*8
    • 短期間で分析を行って報告書を作成し,それをもとに初期設計を行う
    • 状況を詳細に理解してから調査することは諦めなければならない
    • 低コストで済む
  • 評価的エスノグラフィー*9
    • 既に存在する設計に関してエスノグラファーが評価と検証のための調査を短期間で行う
  • 既存分析の再検討
    • 過去のデータを再検討して設計に有用な情報を取り出すことができる可能性

状況的行為*10

  • 人間の行為は計画(plan)に沿ってなされるものではなく,計画は行為の大枠を決めているに過ぎない
  • 実際の行為はその場その場の状況に応じてなされている
  • 「計画に沿っている」という説明は後付けのものであり,実際にはアドホックに行為を状況に適応させている

電子的コミュニケーションへの心理学的アプローチ

  • 電子メディアによるコミュニケーションでは実社会におけるコミュニケーションとは異なった特徴が見られる
  • フレイミング*11
    • 電子メディアでの議論では,時に激しい罵り合いが発生し,相手をとことんまで傷つけてしまう
    • フレイミングが起こり易いコミュニティとそうでないものがあり,それぞれにそれ相応の規範がある
  • 日本人のコミュニケーションの特徴
    • 出会うことを重要視
    • 感情が伝わることこそが本来のコミュニケーションであると考えている
    • 相手を敏感に気にする
    • 顔文字
  • 電子メディアの日常化と社会的な弱い絆の補強
    • 日常社会のコミュニケーション問題が電子メディアで典型的に現れる場合があると考えるべき
    • 社会的な弱い絆の維持に電子メディアが有効

*1 field study
*2 ethnographic study
*3 ethnomethodology
*4 ethnography
*5 ethnographer
*6 concurrent ethnography
*7 debriefing meeting
*8 quick and dirty ethnography
*9 evaluative ethnography
*10 situated action
*11 flaming

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Last-modified: 2007-10-02 (火) 15:28:53 (4370d)