高校教科「情報」の成立過程

  • 2003年度
    • 高校に「情報」と「福祉」が新設

高校教科「情報」

普通教科

  • 2単位以上必履修

専門教科

我が国の初等・中等教育における「情報」

  • 情報活用の実践力
  • 情報の科学的な理解
  • 情報社会に参画する態度
  • 1997年10月
    • 情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議 第1次報告
      • 「『情報活用の実践力』の育成については,原則として既存の教科等で行い,『情報の科学的な理解』及び『情報社会に参画する態度』については,情報教育に特化した教科・科目,領域等で行う」
      • 「情報活用の実践力」については,「総合的な学習の時間」と既存の教科等で育成
      • 「情報の科学的な理解」及び「情報社会に参画する態度」については,中学校の「技術・家庭」の情報領域と,高校の教科「情報」で育成
      • 「情報教育の目標のうち『情報活用の実践力』については,各教科等のそれぞれの特性に応じて積極的に取り組む必要がある」
  • 1998年7月
    • 教育課程審議会答申
      • 普通教科「情報」に,「情報A」「情報B」「情報C」の3科目を置く

専門教科「情報」

理科教育及び産業教育審議会

  • 1997年10月
    • 「今後の専門高校における教育の在り方等について」中間まとめ
      • 「特にソフトウェアに関し,システム全体の設計・構築や管理・運営を担当するなどの高度な情報技術者の育成や新たな産業領域の形成に役立つような人材の育成が重要」
  • 1998年7月
    • 答申
      • 専門教科「情報」に現行の11科目

普通教科「情報」の内容

  • 「情報A」「情報B」「情報C」の何れも以下の3つの柱から構成
    • 情報活用の実践力
    • 情報の科学的な理解
    • 情報社会に参画する態度
      • 但し実際は,共通部分は「空集合」か
  • 実習重視
    • 情報A
      • 総授業時数の2分の1以上
    • 情報B
    • 情報C
      • 総授業時数の3分の1以上

情報A

  • 基礎的な技能に重点
    • 情報活用における情報手段の有効性
    • 情報の収集・発信・処理と情報手段の活用
    • 情報手段の発達に伴う生活の変化
  • 協力者会議第1次報告の段階では想定外
    • 中学校段階までの「情報活用の実践力」育成が不充分であった
    • 補助的なものであるべき

情報B

  • 科学的な理解に重点
    • 問題解決におけるコンピュータの活用の方法
    • コンピュータの仕組みと働き
    • モデル化とシミュレーション
    • データベース
    • 情報社会を支える情報技術

情報C

  • 情報社会に参加する望ましい態度に重点
    • ディジタル表現
    • 情報通信ネットワークとコミュニケーション
    • 情報の収集・発信と自己責任
    • 情報化の進展と社会への影響
fig1.gif
図1 「情報A/B/C」の履修割合
  • 本来補助的であるべき「情報A」が圧倒的
  • 「情報の科学的な理解」を重点的に扱う「情報B」は1割程度
    • 「科学技術創造立国」を標榜する我が国の前途に暗雲
  • 教育課程審議会答申
    • 「生徒が興味・関心等に応じて選択的に履修できるように,『情報A』『情報B』『情報C』を置く」
      • 現状では,学校側の都合で何れか1科目しか設置されていない

専門教科「情報」の内容

基礎的科目

情報産業と社会
情報産業と社会のかかわりについて,情報化と社会,情報化を支える科学技術など
情報と表現
情報と表現について,情報活用とメディア,情報活用,情報発信,発表能力など

システム開発系科目

アルゴリズム
データ構造とアルゴリズムについて,数値計算,データの型とデータの構造,並べ替え,検索,データベースの概要など
情報システムの開発
情報システムの開発について,情報システムの概要,設計,ソフトウェアテスト,運用保守など
ネットワークシステム
情報通信ネットワークシステムについて,ネットワークの基礎,設計,運用と保守,安全対策など
モデル化とシミュレーション
様々な現象を数理的にとらえ,コンピュータで解析し,視覚化するための知識と技術について,モデル化とその解法 ,現象のモデル化とシミュレーションなど

マルチメディア系科目

コンピュータデザイン
コンピュータによるデザインについて,造形表現,造形心理と意味の生成,デザインの基本要素と構成など
図形と画像の処理
コンピュータによる図形の処理技法や画像の処理技法,立体図形の表現に関する知識や技術について,画像のディジタル化,画像の変換と合成,図形の表現,立体図形による表現など
マルチメディア表現
マルチメディアによる表現活動を通して,マルチメディアによる伝達効果とその特質,作品の構成について,静止画の設計と表現,動画の設計と表現,音・音楽の設計と表現,作品の作成など

総合的科目

情報実習
システム設計・管理領域やマルチメディア表現領域などの専門分野に関する技術を実際の作業を通して総合的に学ぶ
課題研究
作品の作成,調査・実験・研究,産業現場等における実習,職業資格の取得などに関する課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を学ぶ

教科「情報」の教科書

  • 普通教科「情報」の教科書検定
    • 2001年度
    • 2003年度
    • 2005年度
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図2 科目/年度別教科書検定数
  • 2001年度
    • 多くの出版社が参入
  • 2003年度
    • 改訂版や新版の投入を見送るところが増えた
  • 2005年度
    • 「情報A」で2種類の教科書を出した出版社が2社
      • 実習指向
      • 座学指向
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図3 2007年度出版社別教科書採択数
  • 採択は特定の出版社に集中
  • 占有率
    • 実教出版だけで全体の39%
    • 日本文教出版,一橋出版,第一学習社まで加えた上位4社で74%

専門教科「情報」

  • 11科目中,教科書が発行されているものは6科目
    • 情報産業と社会
    • 情報と表現
    • コンピュータデザイン
    • 情報システムの開発
    • ネットワークシステム
    • モデル化とシミュレーション
  • 実教出版1社のみが発行
    • 幅広い内容がコンパクトにわかりやすくまとめられている
    • 選択の余地がないのは問題

専門学科「情報科」の現状

表1 設置学校数
情報科 20
商業科793
工業科626
総合学科294

専門高校における情報教育

  • 商業の「情報処理科」
    • 情報処理
    • ビジネス情報
    • 文書デザイン
    • プログラミング
  • 工業の「情報技術科」
    • 情報技術基礎
    • 電子情報技術
    • プログラミング技術
    • ハードウェア技術
    • ソフトウェア技術
    • マルチメディア応用
  • 専門学科「情報科」へ移行したものは極めて少ない
    • 教員配当数
    • 大学への進学
    • 予算
    • 産振手当
fig4.gif
図4 2005年度全日制卒業生の進路
  • 著しく進学志向
    • 情報課程のカリキュラムは,高大接続を考慮したものであるべき

大学一般入試における教科「情報」

  • 情報関連学科を持つ大学は「情報入試」を行なうべき
  • 「情報入試」実施大学
    • 2006年度
      • 14大学
    • 2007年度
      • 23大学
        表2 出題内容
        情報A/B/Cの選択または共通部分13大学
        情報A 6大学
        情報B 3大学
        情報C 1大学
    • 大学総数(2006年度,大学院大学を除く)
      • 723大学

教科「情報」をめぐる駆け引き

否定派

  • 全国高等学校長協会
    • 学習指導要領改訂に向けて(お願い)
      • 2006年9月27日付
      • 2007年7月6日付
    • 必履修や,教科そのものを否定的に見直すことを求めている
    • 要旨
      1. 「情報」は生徒間の能力差拡大傾向
      2. 指導教師充足困難
    • 対応策
      • 必修科目からはずして選択教科にする
    • その他
      • 協議会参加のほぼ全員が上記案を支持している

推進派

  • 情報処理学会
    • 日本の情報教育・情報処理教育に関する提言2005
      • 2005年10月
    • 2005年後半から2006年初頭にかけての事件と情報教育の関連に関するコメント
      • 2006年2月
    • 高校教科「情報」未履修問題とわが国の将来に対する影響および対策
      • 2006年11月
    • 高校普通教科「情報」新・試作教科書
      • 2006年12月
  • 日本情報教育開発協議会(JADIE)
    • 高等学校教科「情報」の必履修についての請願書
      • 2006年12月
  • 八大学情報科目入試検討ワーキンググループ
    • 北大
    • 東北大
    • 東大
    • 東工大
    • 名大
    • 京大
    • 阪大
    • 九大
    • 情報教育に関する提言
      • 2006年5月

参考

協力者会議第1次報告
「子供たちに真に必要な資質能力とは何かという立場から検討された時,情報教育の観点が結果としてのその柱の一つとなる可能性を我々は強く認識しており(中略)学校教育における情報教育の推進に前向きに取り組むことを期待する」

教員の現状

新教科「情報」現職教員等講習会

概要

  • 2000年から3年間
  • 基礎免許
    • 数学
    • 理科
    • 家庭
    • 商業
    • 工業等
  • 15日間の講習
    • 報告書の提出
  • 約9,000人を養成
    • 元教科から情報科へ転身することが前提

問題点

  • 「情報」を担当しない教員が続出
    • 臨時免許や免許外担任の乱発
    • 授業内容の不当な差し替え
  • 基礎免許を持たない教員は対象外
    • 一方でコンピュータの基本操作すら危うい情報科教員

大学における教員養成

  • 312大学464学部(2006年4月)
  • 学部の内訳
    • 文系と理系が約半数ずつ
    • 文系
      • 経営学部や経済学部が多い
      • 法学部や文学部などもある
  • カリキュラムが現実的内容に対応しているか
    • アルゴリズム
    • モデル化とシミュレーション
    • コンピュータデザイン

教員採用状況

  • 「情報」を軽視
  • 「情報」の将来性に疑問

2007年度

  • 14都府県市
    • 採用者数は1ないし若干名
  • 副免許要
    • 茨城県
    • 埼玉県
    • 千葉県・千葉市
      • 「情報」以外の教科で一次選考
    • 東京都
    • 富山県
    • 鳥取県
  • 副免許不要
    • 静岡県
    • 愛知県
    • 名古屋市
    • 大阪府・堺市
    • 兵庫県
    • 熊本県
    • 大分県
    • 沖縄県

2008年度

  • 14都府県市
    • 採用者数は1ないし若干名
  • 副免許要
    • 茨城県
    • 群馬県
    • 埼玉県
    • 東京都
    • 富山県
    • 愛知県
    • 鳥取県
  • 副免許不要
    • 神奈川県
    • 静岡県
    • 名古屋市
    • 大阪府・堺市
    • 神戸市
    • 大分県
    • 沖縄県

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